なけなしの希望

2020/4/30

同級生の保険屋H氏から電話。毎年恒例のクルマの保険の更新の連絡だ。免許の色何色だったっけ?あと有効期限教えて。了解。折り返しメールでも大丈夫?OKヨロシクー、何事もないいつも通りの出来事のハズだった。で、財布の中の免許証をカクニン、有効期限ね、この前行ったのいつだっけ?更新は確か今年の10月だよな、、ウンウン平成31年10月まで有効ね、「平成31年??」、、今「令和」ってやつだよな、令和にすると平成31年は(ググる)令和1年か、あ、今年ってまだ令和になって1年だったかぁそうかぁもっと経ってるような気がしてたなぁ(もう薄々気付いてきてる)で、逆に?今年は令和でいうと(ググる)令和2年、「令和2年」だよな、そうだよなぁもうすぐ5月だしな、令和になったのは去年の5月頃だったよな、まだ1年経ってないけどもう令和2年なんだね。ウンウンということで今は令和2年、令和2年と。そんで令和2年は逆に平成何年?(ググる)令和2年は平成32年ね。で有効期限が(もう当然気が付いている)平成31年10月、と。これは令和1年10月ってことだね。今は令和2年だからこの免許の有効期限に書いてある平成31年は去年のことだね。平成31年10月は6ヶ月前の10月だね。、、おいおいフツーに2019年って書いといてよ!

、、、免許、6ヶ月前に失効してました。

急いでH氏に電話「明日二俣川行ってくる」「ヤバいな」「ヤバい」失効から6ヶ月以内なら講習受けて即日交付なんだけど既に6ヶ月以上経っちゃてるからその日は戻せて仮免。本免許に戻すにはそのあとに改めて学科と実技の試験を受け直さなくちゃならない。学科試験の模擬問題をネットで見てみる。一発で通るとは思えない。空走距離、制動距離。聞いたことあるような。いやもはや全く知らない。なにより実技は教習所の先生でなく警察の教官を隣に乗せたとてつもなく高い緊張感の中で行われ中々簡単にはいかないらしい。世の中はコロナ騒動の真っ最中。明後日からGW大連休、その後も新型コロナウイルス対策で免許センターが業務休止するとの発表がありその本免試験もいつ受けられるか分からない。もう一度クルマを運転できる日は来るのか。この6ヶ月の「うっかり」は取り返しのつかない重さだ。

2020/5/1

午前8時二俣川運転免許センターに到着。

なかなかの数のうっかりさん。県内でも指折りのうっかりさん達が集合してソーシャルディスタンスを保っています。

ここからはひたすら並ぶ。申請書の発行に並び、申請書の記入に並び、証紙を買うのに並び、申請書の提出に並ぶ。

例年だったらあ~あカッタルイこれ何とかならないの?この暗証番号意味ねぇだろ?本気かよ?ここの水色の制服を着た決められたことしかやらないカタブツ達には融通ってもんがないのか?これじゃあ人間でもねぇ羊でもねぇ犬でもねぇ只のブタだ!というイキった気持ちで並んでましたが今年の僕は全然違います。これから教官さまを隣にお乗せして各種試験をクリヤーしていかないといけない身ですから。これからまだまだ長いお付き合いになるのです。何よりも大事なのは謙虚な気持ち。静かに列に並んで自分の番を待ちます。そんな静かな気持ちが功を奏したのでしょうか手元の詰碁アプリがいつもよりスラスラ解けます。

そんな中スマホのメッセージに着信あり。「久しぶり。GarageBandの使い方教えて。外部接続機器は持ってない。」横浜のチンピラ詩人SSWカオルさんからだ。久しぶり。カオルさんは自分がバンド活動を始めた頃にお世話になった音楽関係の先輩で、ここのところ体調を崩して大人しくしていると聞いていたのでこの連絡は嬉しかった。GarageBandはMacに付属している簡易な音楽ソフト。Mac使いで音楽をやってる自分はこの手の質問を受けることは多いのだがこちらがまず言うのは「まずは外部接続機器を用意しましょう。」外部接続機器とはコンピューターに音を入力する装置。これがなければ始まらない、といってもいい。しかし詩人のメッセージからはそんな面倒なものを用意する気はサラサラない。今のヒラメキを今あるもので直ぐにメモできる方法を教えろ。と言うような意思が感じられた。Macは何を使ってるのか?せめてそこにヘッドフォンはあるのか?いま音はどこから出てるのか?などと確認した上また連絡する旨伝える。

そうこうしてるうちに失効手続の番が来た。視力検査は問題なくクリヤー、また並び直して書類を提出。水色の制服を着た妙齢の女性が書類に目を通す。「特別な理由はありますか?」「、、うっかりです」「わかりました」「10月の失効のうっかりはなんともならないけど、6ヶ月間ここに来れなかったのには何か特別な理由があるんじゃない?」「特別な?」「そう特別な」「あ、あり、、ますね、、」「あるわよね」「あ、、あります」「えっと??」「し、新型!新型!新型コロナで来れませんでした!」「じゃあここに新型コロナの対応で遅れました、と一文書いて」水色の天使はそう言って書類を戻す。一文書いて書類をまた戻すとハンコをバンバン!と押し「じゃあ今日の午後に免許出るから次はここに並んで」とまた別の書類を僕に預けた。

晴れ渡る二俣川の空。窓が開け放たれた人気の少ない部屋での講習を終えると無事に免許をまた手にすることができた。「道路は歩行者のものです。試験をクリヤーしライセンスを手にしたものだけがその歩行者の道路を特別にクルマで通らせてもらえるのです。」教官先生の締めの言葉が胸に響いた。僕のココロの中にはまだ謙虚な気持ちが生きている。清々しい。因みに新しいそのライセンスには和暦と西暦が併記されていた。保険屋のH氏には免許証が無事発行されたことを伝えいつも通りのプランで保険を更新することとした。

帰宅後カオルさんとメッセージと電話とスクリーンショットを駆使してなんとかカオル宅のiMacで録音できる環境を整える。

2020/5/2

その後もカオルさんとは日を跨いで小さなトラブルやお互いの近況報告などを交えながら準備は進む。

2020/5/4

政府が緊急事態宣言の期限の延長を発表。

2020/05/22

そうこうしてるうちにカオルさんから出来上がったとの連絡が入る。

さらに少し調整したいところがあるとのことなのだがその調整方法をリモートで説明するのも中々骨が折れるのでここでこちらが引き取って一気にやるのはどうだろう?と聞いたらOKと。

で出来上がったのがこちら。

アパートの部屋でマイクもヘッドフォンも使わずiMacだけで仕上げたみたいで声にはiMacからのバックトラックがカブってる。いい感じだと思う。忘れ難い2020年5月の出来事でした。

ポケット   カオル

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